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ノジマの日立家電事業買収に思う、苦い記憶

ノジマの日立家電事業買収に思う、苦い記憶

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今朝飛び込んできたニュース
家電量販店のノジマがHITACHI家電事業を1000億円で買収する、とのこと。

驚きました。販売会社が同業ではなくメーカーを買収するのです。製造機能を持つ製販一体の競争力強化ということ。

2000年以降は高品質を誇ったメイドインジャパンの家電事業が一気に弱体化してきました。円高などの外部要因はあったものの、基本的には商品力だと私は見ています。

ガラパゴス携帯などと揶揄された様に、誰のための何に関する品質なのかを見誤った。要するにマーケティング力に基づく商品企画の問題です。今だに保有技術だけで作れる商品の企画と開発をしてしまい、後になって売り方がわからない、なんていうコンサル案件が実に多いのです。

私はSEIKOの情報システム部門で活動している時に、自ら事業分析と業務設計を行い、事業部門にビジネスプロセスの変革を提案して、それを実現する基幹業務システムを構築しました。しかし情報システム部門としてだけでの活動では経営品質を高めていく為には限界があると気付いて事業部門に異動させてもらい、自ら構築したITシステムを使って営業と商品企画を行っていた時期がありました。

その時にHITACHI冷蔵庫を長年作ってきた有識者から「あなたのお客様は誰?」と質問され、私のマーケティング眼が広がったことがあり、商品企画への思いを強くしたことがありました。

同じ頃、量販店バイヤーから言われた言葉があります。

「メーカーさんはお客さんを理解していない、だから我々の言った通りに作ってくれれば良いんだよ。」と。

これはものづくりに拘って日々活動していた私には衝撃的な発言でした。ちょうど2000年前後の当時で、量販店のプライベートブランドが急速に成長してきた時です。そこからメーカーの商品力が低下した様に感じています。作れば売れるバブル景気時代に、考えることをしないで胡座をかいていたツケが来たのです。

プライベートブランドの隆盛がメーカー商品を弱体化させたのか、または、メーカー商品力が弱体化したからプライベートブランドが隆盛したのか。

少なくともVUCA時代の今は、特に家電に関して日本企業の商品がグローバルで苦戦してメーカーはその事業を手離し始めています。

その様な中では、製販一体になった市場提案型のプロダクトビジネスの強化は、日本産業界にとって大きな課題です。

でも、見えているお客様だけで「お客様理解」をしてはいけません。それだけで良いのはシェア100%のチャンピオン企業だけです。大事なのは見えないお客様と背景となる外部環境です。「今」だけのニーズではなく、それを時間軸で視て、同時に自社は何者なのか、を問い続けることです。

販売会社が製造機能を買収すると、自社が売れるものだけにフォーカスしてしまいがちです。それも戦略の一つとして、本気のものづくり未来への提案型プロダクト開発に乗り出すかどうか、ノジマの日立買収の今後に注目したいですね。