書籍
あなたと企業の個性を活かす BtoBマーケティングDX
~失われた30年の過ちを繰り返すな~
2025年7月4日、全国書店またはアマゾン等ECより発売となりました。
表紙の帯部分に、産業技術総合研究所:首席研究員の本村陽一様が「今の時代に深い問題意識を持つ人への実践知」とコメントしていただいた様に、著者:谷古宇啓之のセイコー、横河電機、リコーでの32年分の実践の中で得た考えを中心にまとめた書籍です。言葉や文章だけでなく114点中の113点は全て自身で積み上げてきた手作りです。著者自身の成功体験だけでなく失敗体験も紹介していますので、次世代の方々には日々活動のヒントにしてきただきたい。
質問や詳細説明のリクエストなどあれば、お気楽に連絡ください。
書籍の概要
BtoBマーケティングには独特の難しさがあること、そして9割以上が失敗すると言われるDXは本質を捉えられておらず、成功するまでやり切れていない現状があることを指摘。そして、マーケティングとDXの2つを組み合わせたBtoBのそれは、従来の経営が敬遠しがちな分野であったがゆえに、競争力と社員エンゲージメントが長期にわたって低下し続ける日本企業にとって最重要課題であること、経営品質を強化(why)するために、市場での戦い方を策定(what)し、それを実現するITを構築して活用(how)する必要性について述べています。
競争環境が激変する中で、一人ひとりの個性を企業個性とリンクさせて成長させる必要がある現代。失われた30年もの長く続く低迷期と同じ過ちを繰り返さぬように、これらの考え方を実践知に基づいて解説しています。
目次
執筆した背景と本書に込めた思い
出版社のインタビュー
執筆した背景と本書に込めた思い
1989年以降に実践してきた、セイコー、横河電機、リコーの3社で32年間の活動は、それぞれの会社でIT部門と事業部門において現場と経営の立場で自ら率先して行動を起こしてきました。また学生時代では4年間プログラミングのアルバイト、そして2021年のWAIコンサル社起業後を合わせると40年以上の実践となります。紆余曲折ありながらも頑張っていたその3社での期間は、「失われた30年」と呼ばれるほど、日本企業は競争力をなくし、若い世代は働く意義を見出せなくなってしまっていました。同時期に活動していた私の世代が失われた30年を作ってしまったのです。
その様な時代だからこそ、もし私が長年実践してきた仕事が本当に正しかったのであれば、体得してきた技術や技能を次の世代へ伝えていかねばならないと心底思っています。成功談だけではなく、その裏にある多くの失敗経験は特に重要な智慧になっています。今まで共に頑張ってきた後輩だけでなく、自分の子供や孫の世代の産業界で奮闘している次世代の人たちの未来へ伝えていく責任であり、長年企業で成長させていただいたベテランとしての責務だと私は信じています。
32年間以上も常に考えて行動してきたこと、即ち私の実践知を本書では本文は勿論、図表や表紙デザインなどに様々な工夫として染み込ませています。表紙の中心にあるタイトルを飾る波型のテキストボックスは、本文でも触れている様に人間性と論理性を示しています。上辺と底辺の波線が優しく柔軟な人間性を、そして左右縦の直線は確固たる論理性を表し、WAIコンサル社の全てのプレゼン資料でも利用しているデザインです。また淡い色で青黄赤の3色を使っているのは、私を育ててくれたセイコーと横河電機とリコーのコーポレートカラーを使うことでリスペクトを表現しました。文中には114点の図表を掲載していますが、1点を除く113点は私自身がプレゼンソフトで作成したものであり、文字数は全体で通常のビジネス書の3倍になっています。そのために文字が小さくなって読みにくいのは残念ですが、しかし内容は私の長年の実践知なのです。読みやすくてもスカスカの書籍でなく、当初は出版社からは反対されましたがどちらかと言うとホワイトペーパーを目指しました。それほど情報量が多く内容が濃いために裏表紙では目次を図解で紹介することに拘りました。デザインも図も全て自作です。

弊社名称の「WAI」は本書で紹介した基本の考え方です。何かを成し遂げる際に一つの事で盲目になるのではなく、二つの観点、即ち【二つの面のダブルでアプローチして洞察】する、ということです。本書では様々なダブルアプローチを紹介しています。例えば、目的を達成するために時には積極的に考え行動するのですが、状況によっては一時的に逃げることだって一つのダブルアプローチなのです。
ふと自分の子供のころを振り返ると、ダブルアプローチに似た表現に宮本武蔵の二刀流が思いだされます。執筆直前で他界した父は宮本武蔵が好きで、よく私が子供の頃に話をしてくれました。武蔵の言葉で有名な「有構無構」(ゆうこうむこう)はWAIの典型で、私がスポーツをする際はそれを自然と意識していました。そして私が本書を執筆した年齢と同じ歳に武蔵は、熊本県の霊巌洞(写真:自身でツーリングワーケーション中に撮影)というところに独り籠って五輪書を書き上げたと言われています。偶然ですが本書は同じく5章構成です。このように宮本武蔵と重なることが多々あるのですが、「個性に基づく技を磨く」ことを5章に執筆している時は同じ胸中だったと思います。
本書は反省も含めた私の実践の事実であり、読者がそれを理解することは大変です。そこで各章の最後に「まとめ」として整理して全体では39個になりました。サンキューの意味を込めていますが、本書メインターゲットを39歳に設定したこともこの数字にこだわった理由です。このような様々な「仕掛け」と、伝えたい実践知の情報量はビジネス書3冊分になっています。読者からは「3回読まないと全体の理解ができないけど、読み返すたびに新たな気付きがあります」と嬉しい反応も返ってきています。
WAIコンサル社での活動は、社名にある「コンサルティング」は勿論ですが、それだけでクライアント企業に競争力が身に付くわけでは無く、失われた30年がそれを証明しています。私は客観的にクライアントの「企業と組織と担当者」を研究して、コンサル提案した上で、共に現場で行動し、時には営業同行や経営会議にも参加させていただいています。その活動によって担当者が成長し、クライアント企業が持続的に市場での存在意義を示していく、即ち、人の成長が企業の成長と直結するように企画提案/設計構築/推進浸透のステップを自らが社員の目線で活動しています。本書はその実践知であって、日々奮闘している次世代の人たちのヒントになることを願っています。
私の手が届かない人にも縁があって本書を手に取っていただき、一つでも二つでも気付きを得たり質問がわいたりした際は、是非弊社webサイト問合せへご連絡いただいて共に議論をさせていただきたいと思っています。書面には書けなかったことや、深い解説もいたしますので、そのコミュニケーションからその人の成長へ繋げていただきたい。
このように「人」に拘った活動がWAIコンサル社の特徴であり、本書表紙に私が所属していた3社の名称を掲載しなかった理由でもあります。社名にぶら下がるのではなく自分自身を磨くということです。書籍としては3社の社名を載せた方が購入していただき易いとは思いますが、私なりの考え方を重視して徹底しました。
書籍発行したので皆様はポジティブな私の体験を想像されますが、私は父親として自分の子供に真っ当な事を伝えてこられなかった後悔が今も心に冷たく残っており、実はそれが本書を執筆した最初の原動力なのです。家族と接するなかで「xxであるべきだ」と思考停止してしまっていたことが私の大きな反省です。既に成人した子供達に真意を伝えることは出来なくても、遺すことはできると考えました。それを自分の子供達だけではなく広く知っていただくことが書籍では出来ると考えたのです。
ビジネスとプライベート、すなわちオンとオフは切り離して考えた方が健全かもしれませんが、私はワークライフインテグレーションと表現するように仕事でも普段の生活でも「考え工夫して行動する」ことは共通する人としての姿勢であり、失敗や後悔はあっても長い人生における原動力なのだと思います。そのためにも宮本武蔵の様に自分自身の個性を磨くことが、普段の生活でも仕事でもベースであって、本書で最も言いたいことなのです。それが、難しいBtoBマーケティングDXの本質であり、一人ひとりが個性を見つめる事で未来社会へ通じる仕事が見えてくるのだと私は信じています。誰かに支配されるままでは、旧態依然から抜け出せません。そのために私と同じ失敗である思考停止から抜け出して、共に未来を創りましょう!
目次
── 1章 日本企業の三大課題
『日本の停滞は世界の損失!』
- 失われた 30 年によってもたらされた日本企業の現状
- 経営として反省すべき「三大課題」
- 綺麗に言うだけのキャッチコピー
- 強みが現場に集中する日本企業
- 国際競争力と Society5.0
── 2章 第一課題:戦略
『誤った戦略は社員の疲弊しか生まない!』
■ 戦略の考え方
- 全ての施策は「企業理念」から
- 差別化した「個性」を浸透させよ
- 存在意義である個性を「ブランディング」せよ
- 「機能と体質」で組織を成長させる長中短期戦略
- 「制度と仕組」で成長を持続させよ
- 戦略は「ストーリー」と「目的ツリー」で繋げ
- 「戦略設計」の手順
■ マーケティングの考え方
- BtoB だからこその「マーケティング」と、その難しさ
- フレームワークは「工夫」して活用せよ
- お客様との共通語である「外部環境」からターゲティング
- 「プロモーション」はマーケティングの重要な一要素
- 「Web サイト」がダメな企業は信頼されない
- 作ったモノを売るのではなく、「売るべき価値」を創れ
── 3章 第二課題:DATA/IT
『本質を見ないDXは失敗する!』
■ DX
- なぜ「DX」はうまくいかないのか
- 「AI の活用」で競争力を、「AI へ丸投げ」で衰退へ
- 難しい DX は「変革の三要素」へ分解して進める
- 推進組織は急務だが、不足する「DX 人財」
■ 意思決定に必須なDATA
- VUCA 時代に重要な「経営資源である情報」を活用せよ
- 戦略策定に必須な「ファクトベース思考」
- データ活用に求められる「スキル」
- データの「捌き方と読み方」の注意点
- 放置されがちな「セキュリティ」
- マーケティング分析に欠かせない「テキストマイニング」
- NTT データ数理システム社 テキストマイニング TMS の設計思想
■ ITで成す業務プロセス変革と情報流
- 全ての「業務プロセス」は情報で連携
- 経営をデザインする「情報流(Circular Information)」
- 長瀬産業における情報流の効果についてのインタビュー
- 業務システムは「生態系」を実現するインターナルブランディング
- 業務システムは「設計思想」が命
- 組織で「DATA/IT 運営」するための秩序
- 重要な「3 つの設計」
── 4章 第三課題:人と組織
『強みは人、問題を作り出すのも人!』
■ 人と論理思考
- 「人」の性質
- 人間性に併せ持ちたい「論理性」
- 根本原因「Root Cause」を見つける課題設定力の強化
- 「効率化」に騙されるな
- 勘と経験と度胸「KKD」にファクトデータを加えよ
■ ソリューショニスト&ストラテジスト
- 共に戦うからこそ「ソリューショニスト」であれ
- 「社内で提案活動」できない企業はソリューションカンパニーにあらず
- 「ストラテジスト」は孤独
- ヒトが染まるのではなく「人を成長させる」
■ 組織マネジメントとリーダーシップ
- 「組織」のあり方
- 正解のない「組織マネジメント」
- 「出る杭」こそが真のリーダーシップ
- 「企業個性を牽引」する CMO × CDO
- 「組織知」で戦え
── 5章 今だからこそ求められること
『自ら考え行動して、まず自分が成長せよ!』
■ 思考停止から抜け出せ
- 「ダークサイド」に気を付けろ
- 「誰かに期待した瞬間に止まる」
- 「考動」せよ
- why, what, how で「ション&ション」
■ 個性を磨けば働く意義が見えてくる
- 多様性の一人、「あなたの成長」なくして組織成長なし
- 「技術と技能」で技を磨け
- 自ら学び、「人と学び合う」
- 「働く歓び」こそが真のウェルビーイング
- 「戦う時」を見誤るな
- 「WAI」: W -double- Approach Insight




